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ビジネスアナリシス標準のススメ (その3)

2011年3月29




なぜBA標準(またはビジネスアナリシス方法論)が必要なのでしょうか。BA標準を持つメリットは何でしょうか。それを考えてみましょう。

 

ビジネスアナリシス方法論GUTSY-4をを例に考えてみましょう。

この方法論の、大きな7つのポイントについて考えてみよう。

1.企業の事業概要を理解する

2.事業部長やCIOに戦略や課題を聴く

3.機能部門長から課題を聴く

4.機能部門課長から課題を聴く

5.ビジネス要求を定義する

6.現状プロセスを記述する

7.ユーザー要求を引き出して整理する

 

上記は特定の方法論に限るものではありません。どんな方法論でもトップの課題から現場の問題までつながっているはずです。つまり、この7つのポイントは多くの方法論に共通なものと言えます。

 

1.企業の事業概要を理解する

  ここで明確にすることは、次のようなものです。

-製品サービスの特性

-顧客や仕入れ先の特性

-事業所や工場の場所

-受注や生産形態は

-飛び交う用語の意味は?

 これらを、方法論がないまま調査するとどうなるでしょうか。

思いつきで調査をしたり、偏った先入観で調査することになり、詳細な部分とそうでない部分がでてきたりします。その結果何度も調査をしたり、誤った理解をしてしまうことになります。事業概要の理解が間違っていたとすると、その先どうなるでしょうか。間違った戦略を策定する恐れすらあります。

 一方、方法論GUTSY-4では技法・ツールとして、

   -WBS(ビジネスアナリシス実践のプロセス)

   -バリューチェーン特性の調査項目シート

   -用語集

などが用意されています。

原材料から最終顧客までのバリューチェーンの概要と構造を短時間で正確に把握することができます。戦略を導くために最低限必要な情報を収集することができます。

用語集は重要です。顧客の業界の常識(用語)とベンダーの用語では意味が異なることもあります。無用な誤解をさけるべきです。

 

2.事業部長やCIOに戦略や課題を聴く

  ここで明確にすることは、

   -市場の機会と脅威

   -自社の強みと弱み

   -戦略は

   -戦略の優先順位は

   -戦略課題に対応する業務機能

  などです。

方法論がないままインタビューするといわゆる自由形式のヒアリングにならざるを得ません。属人的なスキルに頼らざるを得なくなり、得られる情報の精度がばらつきます。個人的主観を基にしたSWOT分析では、効果的な戦略につながらないリスクが付きます。多くのあいまいさを残した言語(特に日本語)では、業務に落とすのは難しいところです。

一方、BA方法論GUTSY-4では、

 -WBS(質問インタビューがプロセス化している)

 -市場環境分析(周到に準備されたフレームワーク)

  -クロスSWOT分析(テーブル)

  -戦略課題抽出のテンプレート

 などにより、戦略の事業機能(レベル1)を明確にして、それを戦略課題に分解することができます。

 また、

  -戦略課題から業務要求に構造化するテンプレート

 により戦略課題から業務要求(レベル2)に落とし込むことができます。この辺の作業がいわゆる「穴埋め形式」で進めることができるため、属人性を排除することができ、誰にでも一定の品質の業務分析ができるようになります。

 

テンプレートをまとめて図示したものです。



                         M&ERPi渡辺氏作成資料

 


 

左上 : 市場環境分析

右上 : SWOT分析

右下 : 事業戦略から戦略課題を導きます

 左下 : 戦略課題を業務要求に構造化します