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特別レポート 【ビジネスルール研究WGの成果(概要)】

2013年6月17


特別レポート 【ビジネスルール研究WGの成果(概要)】


531日にVCPC(バリューチェーンプロセス協議会)において、ビジネスルール研究WGの発表をいたしましたので、その概略を解説いたします。

前号まで、8回連載した「ビジネスルールとビジネスプロセス」の最終結論という位置づけにもなります。

詳しくは下記URLWebページを参照ください。

 URL : http://www.kbmanagement.biz/sub229.html

 

1年にわたり、ビジネスルールをビジネスプロセスとの関係を研究してきましたが、WG(ワーキンググループ)の結論(正確にはまだ仮説)です。

 


          【総論(結論)】

ビジネスプロセスの階層とビジネスルールの階層をきれいに対応付ける

ことに成功した(特に、SCOR/ESCORTモデルにおいて)

 


まず、次の図をご覧ください。




 

発表資料はVCPCWEBページより閲覧可能となっていますので、ご覧いただいても結構です。

http://vcpc.org/modules/d3downloads/index.php?page=singlefile&cid=17&lid=65

 

VCPCは前身のSCC(サプライチェーンカウンシル)時代から、ビジネスプロセスを階層化して整理することに精力を注いできていました。その一つが有名なSCORモデル(Supply Chain Operational Reference-model)です。階層構造もレベル1、レベル2、レベル3とグローバルに標準化されて大きな実績があります。さらに日本ではSCORモデルを拡張しレベル4の参照モデルまで確立しています(ESCORTモデル)。最近、東京海上日動システムズがこの方法論でビジネスアナリシスを成功させ、話題になっているのはご存知だと思います。

東京海上日動システムズの事例発表は下記ページをご覧ください。

http://babooks.jp/news/issues/report_VCPC130308A.html

 

一方、USでは、ビジネスルールのコミュニティが10年以上前から活発な活動をしていて、BRCommunity.com などがあり、大きな成果を発揮しています。

そのBRCommunity.comの成果に、ビジネスルールの階層モデルがありました。





詳しくは下記URLWebページを参照ください。

http://www.brcommunity.com/b661.php

 

著者のKathy A. Longによると、ビジネスルールにも階層構造があり、上位から

 -全社ポリシー(Company Policy

 -部門ポリシー(Department Policy

 -作業手順(Job Procedure

 -ビジネスルール

となります。

また、それに対応するビジネスプロセスは

 -ビジネス活動(Business Activity

 -ビジネスタスク(Business Tasks

 -ビジネスステップ/ワークフロー

となっていました。

 

ビジネスルールにも階層構造があるということは大きな発見でした。それならば、日本で得意のビジネスプロセスの階層モデルと関係づけることができるのではないかと、研究活動を進めることにしたのです。

それをイメージしたのが次の図です。





特に、SCOR/ESCORTモデルの階層とビジネスルールの階層を対応できないかと活動を進めていきました。

途中、新しいビジネスルールの書籍(「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」ロン・ロス著)が日本語化されたのは研究を大きく加速することができました。

ポリシー憲章、FACTモデル、ビジネスプロセスからのルールの抽出、マイルストーンモデル、決定分析、などルールを作成する具体論が明確になり研究も一気に進んでいきます。

 

前出の結論(総論)を支える3つの各論です。




1.のポリシー憲章については、関連する内容が連載(5)にありますので、参照してください。

 URL : http://www.kbmanagement.biz/sub225.html

 





2.はSCORモデルのレベル3のイネーブルプロセスの記述です。

詳細は割愛しますが、SCORモデルのレベル3Enable Process)にビジネスルールの記述があるのですが、内容を吟味するとルールというよりポリシーに該当することがわかりました。これを基に、ポリシーをビジネスプロセスのレベル3に対応することに成功。

ポリシーより下位のビジネスルールはレベル4とレベル5に対応させればよいのです。ルール側だけでは、レベル4とレベル5の区別はできません。ビジネスプロセスと対応させることにより可能になります。レベル4プロセスから導かれるルールはレベル4。レベル5プロセスから導かれるルールはレベル5となります。逆にプロセスと対応付けることにより、モレやヌケを防ぐことが可能になるというメリットがあるようです。

 

最後のまとめですが。

ビジネスプロセスのレベルとルールの対応関係は以下の通りです。

 レベル0:  企業ミッション

 レベル1:  ビジネスミッションとゴール

 レベル2:  ビジネス戦術

 レベル3:  ビジネスポリシー

 レベル4:  ビジネスルール

 レベル5:  ビジネスルール