知識資産の最大化を実現するKBマネジメント 本文へジャンプ
スキル標準ユーザーズカンフェランス2010 レポート (その2)
                                                    2009年12月14日


 

2. SMM実証実験

先週ご紹介した、スキル標準成熟度モデル(SMM)の実証実験です。

 −目的、概要、アンケート

 −実証実験データ(アセスメント例)

 

2.1 目的、概要、アンケート

 

目的:

SMMを活用することにより、人材マネジメントにおけれうITSS導入状況の“見える化”

が可能になるか検証を行う

 

アンケート及び集計

スキル標準ユーザー協会のSMM小委員会メンバーで行いました。

 

検証方法:

SMMを測るアンケート項目を作成し、自己申告による回答に加えて個別訪問によるに

よるヒアリング(1時間程度)を実施しました。

 

実施期間: 200910月より1113

参加企業数: 16

 

短期間によくこれだけの企業が協力していただけたと思います。

ヒアリング実施したコンサルタントも忙しかったと思います。

 



スキル標準ユーザーズカンフェランス2010発表資料より引用  





アンケートの内容としては、レベル3のプロセス領域にフォーカスを当てました。理由は、レベル3に到達すれば、ITSSの導入効果が出てくるからです。早くレベル3に到達することが重要です。このレベルにどれだけ近いかをまず見える化すれば、各カテゴリーのゴールやプラクティスで改善項目が見えてきます。そうすれば対策も早くうて、成熟度を上げることができます。


一方、レベル2の判定の精度を上げることは、先に延ばしました。この辺はCMMIとの違いかもしれません。SMMのレベル2は、あまり大きな意味はありません。早くレベル3になることが重要です。

 レベル3Defined):

 全プロセスが有機的にリンクしています。

 スキル標準によりずつビジネスの効果が出始めます。

 早くこのレベルに到達する必要があります。

レベル
3

・ビジネス戦略を策定して
 いる

・ビジネス戦略を基にした
 事業計画を策定している

・事業計画をモニターして
 PDCAが回っている

・顧客満足度調査を実施
 している

・ビジネス戦略に基づき人材 像(キャリアモデル)が規定
 されている(スキル標準と
 リンクしている)

・エンジニアのモチベーション
 が高い

・個人のキャリア計画が組織
 のビジネス戦略と完全に
 整合している

・キャリア獲得のために、ジョ
 ブアサインが制度化されて
 いる(キャリアアップ計画が
 ある

・外部コンサルによる客観的
 認定が実施されている
(レベル認定)

・スキルギャップに基づいて
 個人別に研修を計画・実施
 している

・研修とOJTを連携させて
 スキルアップを図っている




スキル標準ユーザーズカンフェランス2010発表資料より引用  


具体的なアンケートの一部分です。

カテゴリー、プロセス領域、ゴール(質問項目)、プラクティスを示しています。

 

 

2.2 実証実験(アセスメント)データ

 

具体的なアセスメントのデータをご覧ください。

まず、全体像です。



スキル標準ユーザーズカンフェランス2010発表資料より引用  


一番ポイントの高いのは、3000名以上の大企業(4社)ではなく、1000名程度の企業でした。大企業のポイントは低くないのですが、レベル3付近に集中していて、レベル3を超えるほどでもありません。3000名以上の大企業でなければ、レベル3になれないわけではないことがお分かりになると思います。






全企業の4つのカテゴリーのSMM値の分布です。バラツキが大きことがお分かりになると思います。右側の会社名はすべて伏せてありますが、「検討中」はITSSをこれから導入することを検討していただいている企業です。5社ありますが。今回の実証実験に参加することを快諾いただきました。大変勇気のあることではないでしょうか。






3001名以上の大手IT企業です。4社とも平均値を大きく上回っています。

実はこの平均値はあまり深い意味はありません。たまたま今回参加いただいた企業の平均ということで、全国的でもありませんし、ユーザー系や独立系、とも関係ありません。たまたま私たち委員会メンバーが日頃お付き合いさせていただいている企業様ということです。





 

同じ3001名以上の大企業のプロセス領域でのSMM値の分布です。この辺になると各社の特徴がよく出てきます。強み・弱みが一目瞭然になってきます。

共通するのは、「OJT」の弱さです。これだけは全企業にあてはまりそうです。新人研修はしっかりやるのですが、後は現場任せ、という風潮が見えます。

意外と「ビジネス戦略」が弱いのも新たな発見です。大企業ですらこれですから、中小は何をかいわんや、というところでしょうか。ヒアリングでは、このような大手はグループ企業のシステム開発が豊富で、自分で戦略を考える必要があまりなかった、というものでした。ただこれからはそうはいかないだろう、というコメントもありました。

大手らしく、顧客満足度や従業員満足度はしっかりされているようです。






1001名以上3000名までの企業です。バラツキが大きいのが特徴です。

最高得点の企業もあれば、ITSS未導入のため水面下状態の企業もあります。







プロセス領域でみると、強み・弱みが一目瞭然です。似た企業規模ですが、SMMでみるとこうまで違うのか、という感じがします。