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【ビジネスアナリシス方法論とその経営的効果】(その1)

2011年12月26



成功事例として取り上げられたK製作所では、戦略課題として設定した「ETO(特注製品)」において、前年比190%を達成したことも報告されました。確立されたプロセス改善のみならず、その経営的効果まで実証されたビジネスアナリシス方法論として注目するべきものです。

今週から3回程度の連載で、解説します。

1.K製作所の戦略的課題

2.階層的なビジネスプロセスモデリング

3.ITへの要求定義

4.業務プロセスの見える化とITシステム

5.ビジネスアナリシスの導入効果

 

1.K製作所の戦略的課題

1.1 採用されたビジネスアナリシス方法論

ここで採用されたのは、日本国内では唯一ともいえる実績のあるビジネスアナリシス方法論GUTSY-4です。ちょうど1年前、日経コンピュータ誌で紹介されたものですから、記憶されている読者も多いと思います。





この方法論で最も重要なのは業務プロセスの階層レベルです。




上から下まで、5つの階層構造(さらにその下レベル7までありますが)を定義しています。このレベル分けはサプライチェーンの世界標準プロセス参照モデルSCORSupply Chain Operation Reference-model)と互換性がありますから、多くの業界、業種でも共通に使えるものです。

 

さらに、これらのレベルに応じた4つのモデル(ビジネスモデル、ビジネスプロセスモデル、要求モデル(IT)、ソフトウェアモデル)が次の図のように対応します。

 



マネジメント&ERPインテグレーション資料に筆者が加筆

 

図の右端に加筆したのはBABOK(R)の要求分類です。ビジネス要求、ステークホルダー要求、ソリューション要求が4つのモデルに対応することがお分かりになると思います。

 

 

1.2 K製作所の戦略的課題

今回のビジネスアナリシスの対象クライアントのK製作所の戦略的課題を策定するのが、フェーズ1です。



                 マネジメント&ERPインテグレーション資料より

 

フェーズ1では、図のように、 市場環境分析、SWOT分析により、事業戦略を導きます。

その結果、K製作所ではリーマンショック後の売り上げ低迷の打開策として、「特注品(ETO)の拡版」を事業戦略として取り組んできました。

しかし、特注品(ETO)は売り上げを増やすと、業務の繁忙と混乱を招きますから、成果は上がりづらいものです。また、過去に現場の改善を試みても、解決できませんでした。成果が出る保証が見えないものです。

 

そこで、ビジネスアナリシス方法論(GUTSY-4)により、システマチックに改革に取り組んだのです。まず、次の図が事業戦略「特注品(ETO)の拡版」を機能分解したものです。