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         【共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版】の解説
                  (その1)

                                                  2009年1月13日

20081021日にIPAより「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」が発表されました。ITSS/UISS/ETSSさらに情報処理技術者試験に共通のキャリアとスキルに関するフレームワークとして、まとめられたものです。

大変興味深いものだと思いますので、解説いたします。

 

1.「共通キャリア・スキルフレームワーク」の背景

2.「共通キャリア・スキルフレームワーク」の目的

3.「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の内容

4.「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の問題/課題と改善点

以下、順番に解説していきます。

 

1.「共通キャリア・スキルフレームワーク」の背景

ご存知のように、ITスキル標準が発表されたのが2002年。V2から現在V3になっていて、それなりに導入企業が増加しています。IPAの調査(2007年)によると、1,000人以上の大企業(IT企業)では60%以上がすでに導入しています。

一方、情報処理技術者試験は1969年に発足し、長年にわたりITエンジニアの資格を認定してきました。応募者数は年間80万人、累積では応募者1,130万人、合格者数118万人の国内最大規模の国家試験です(IPAWebページより抜粋)。

ところが、同じITエンジニアの資格に、2つの標準があり、互換性が何もありませんでした。片や試験により資格を認定し、片や業務実績によりレベルを認定するという、それなりの背景や理由はあるにせよ、主体である受験者や導入企業にとって標準が2つあること自体迷惑な話だったのではないでしょうか。

2つだけならまだしも、実は、ITスキル標準発表後にITユーザ企業のエンジニア向けにはUISS(情報システムユーザースキル標準)、さらに組込み系エンジニアのためのETSS(組込みスキル標準)まで作成され、ITエンジニアのためのスキル標準が4つも存在しています。ここまで来ると、さすがに、これは何とかしなくてはいけないと思うものです。

経済産業省では「人材育成ワーキンググループ」に提言をまとめてもらい「高度IT人材の育成をめざして」と題する報告書が発表されました(20077月)。これは壮大なもので、今後10年間のIT人材を育成するために必要な多くの提言を掲げています。世界ではインド・中国のIT産業の台頭などにより、このままでは日本のIT産業は衰退してしまうという危機感を強く感じます。

その中の具体的な提言の一つとして、3つのスキル標準(ITSS/UISS/ETSS)を整理し、情報処理技術者試験との対応を明確にする方針が打ち出され、この「共通キャリア・スキルフレームワーク」の必要性が明記されたのです。同時に情報処理技術者試験の改訂の必要性も明確になりました。

 

2.「共通キャリア・スキルフレームワーク」の目的

以下の3点を目的としています。

 

−共通キャリア・スキルフレームワークは、ITSS/ETSS/UISS3スキル標準や情報処理技術者試験が参照するべき共通のモデルを提供する。

 

IT人材が異なる業務ドメインや職種に移っても、新たな職種で求められているスキルや知識の相違の理解を可能にし、プロフェッショナルとしての成長できる枠組みを提供する。

 

−産学連携による実践的教育推進、国際的な人材育成への取り組みなどを推進し、業種・業態、国境を超えた人材の評価・育成と流動化を可能とする。

 

 

 

次号では、「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の内容をご紹介します。