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スキル標準成熟度モデル(SMM: Skill Standard Maturity Model)Ver 0.1
               (その9)


レベルVの特徴です。

CMMのレベル3(定義されたレベル)に相当します

・全プロセスがビジネス戦略と整合(リンク)しています

・顧客満足度調査が実施され、結果が教育体系計画に反映されます

 (レベル4: 教育が実施され、次回の顧客満足度調査で効果が把握されている)

・従業員満足度調査が実施されます

 

 

ビジネス戦略/
ビジネス効果
人材像/
GAP分析
教育体系/
キャリア計画
レベル認定 組織文化
その他
レベルV 【ビジネス戦略】

【顧客満足度調査】
【スキル分析/定義】

【人材像策定】

【キャリアモデル提示】

【スキル診断(GAP分析)】
【組織トレーニング(教育ニーズの統合)】

【個人別教育計画】

【メンタリング】
【社内認定(外部コンサルコンサル関与)】 (参加型文化)
【従業員満足度調査】


注)全プロセスが有機的にリンクされている(Defined)



組織文化 分野です。

(参加型文化)を可能にするための有効なプロセスとして、

【従業員満足度調査】を解説します。

 

日本企業ではあまりお馴染みではないかもしれませんが、グローバル企業ではごく当たり前のように実施されています。企業の施策がその実施者である従業員(エンジニア)にどれだけ伝わっているのか、また逆に現場の問題点を吸い上げるための手段の一つとしても極めて有効です。

 

8つのサブプロセスです。




プロセス1: 目的の明確化

   −ITSS導入への理解の確認(エンジニアとしてのメリットを感じているか)

   −会社のミッション、ビジョンを正しく理解しているかの確認

   その他、必要に応じて追加します。

   例えば、ISOを導入したのであれば、それに関する理解の確認など。

 

プロセス2: 調査項目の策定

   上記目的に即した質問項目を作成します。以下は代表的なカテゴリー(必要最小限)の例です。

   −会社の施策(ITSS導入はスムーズになされているか...など)

   −直属上司の管理のしかた

   −職場のコミュニケーション

   −仕事(与えられた仕事は明確か?、など)

   −働く環境

   −評価(正しく、公平に評価されているか。レベル認定は妥当か、など。)

   −教育(仕事に必要な教育が準備されているか、参加しているか、など)

   −給与、福利厚生(仕事に見合った給与か、など)

   −改善活動への取り組み(ISO/CMMを導入している場合は必須)

   −自由記入欄

  このようなカテゴリーに関して質問項目(3つ〜7つ)を作成します。数十から100項目程度になる場合もあります。中には、従業員が上司を評価する部分もあり、管理職にとってはかなりショックな結果が出る可能性もあります。マネージャの腕の見せ所かもしれません。ITSSの認定レベルを処遇(給与)にリンクしてしている場合は、「評価」「給与」の質問項目が特に重要になります。これらの質問への満足度(納得度)を後の分析・対策の策定で注意深く吟味します。

 

プロセス3: 満足度調査の実施

最近はWeb上で実施できますので、集計も楽です。注意しなければいけないことは、個人情報(匿名)を厳密に守る(特に自由記入欄)ことです。そのためにも、調査の実施・集計は外部機関(調査会社)に委託することが望ましいところです。また、そのようなサービスもかなりポピュラーになっています。

 

プロセス4: 分析・対策の策定

   会社と社員との共同作業です。社長直命のプロジェクトチームを発足するのが良いでしょう。自由コメントは社長とプロジェクトチームだけが閲覧するなどの工夫も重要です。

 全社平均だけでなく、部門別の集計も行うと、部門間(職場間)のバラツキも顕著に見られます。例えば、開発部門の満足は比較的高く、サービス部門は低い、などです。同じプロジェクトでも地域別にばらつきが出るかもしれません。顧客によるバラツキ....。いろいろな角度から分析します。

ITSSの認定レベルを処遇(給与)にリンクしてしている場合は、ITSS導入の成果と「評価」「給与」の関係をしっかり分析する必要があります。

個人のキャリア目標と会社のビジネス戦略との一致/不一致の度合いも分析する必要があります。分析だけでなく、対策を立案する必要があります。ITSSの運用方法を見直す必要が出てくることもあるかもしれません。

 

プロセス5: 従業員へのフィードバック 

  従業員へのフィードバックが最も重要です。包み隠してはいけません。ありのままのデータ(事実)を公表する必要があります。そして対策を明示し賛同を求めます。

 

プロセス6: 対策実施

プロジェクトチームで立案した対策を実施します。

 

プロセス7: 効果の把握

次回の満足度調査で、効果を把握します。

継続的改善が最も重要です。調査を一回だけで終わらせないことです。

調査のやりっぱなしは、従業員の不信につながります。一度落とした信用を取り戻すことは大変困難です。

 

 

参考文献:「企業風土革新(コンカレント・マネジメントで会社が変わる!)」 斎藤 実(プロセス イノベーション コンサルティング) 著

グローバル企業における従業員満足度調査の具体例が紹介されています。具体的質問項目までご覧になりたい方はご覧ください。

 


参考Webページ:たくさんあります。「従業員満足度調査」でGoogleしてみてください。