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ITスキル標準V3 発表 【Part 3】


 

B専門分野の変更

プロフェッショナルコミュニティによる平成18年度改善提案を受け、コンサルタント、ITスペシャリスト、アプリケーションスペシャリスト職種で専門分野を再定義した。

 

順番に(A)コンサルタント職、(BITスペシャリスト職、(C)アプリケーションスペシャリスト職について変更点を説明します。

 

AV2におけるコンサルタント職種の説明:

知的資産、コンサルティングメソドロジを活用し、顧客の経営戦略やビジネス戦略及びIT戦略策定へのカウンセリング、提言、助言の実施を通じて、顧客のビジネス戦略やビジョンの実現、課題解決に貢献する。

提言がもたらす価値や効果、顧客満足度、実現可能性等に責任を持つ。

 

V3におけるコンサルタント職種の説明:

知的資産、コンサルティングメソドロジを活用し、顧客の経営戦略やビジネス戦略及びIT戦略策定へのカウンセリング、提言、助言の実施を通じて、顧客のビジネス戦略やビジョンの実現、課題解決に貢献し、IT投資の経営判断を支援する。

提言がもたらす価値や効果、顧客満足度、実現可能性等に責任を持つ。

 

ポイント:V3での変更「〜IT投資の経営判断を支援する」が追加されたことです。

より経営側(より上流工程)に特化しています。それがV3における変更の根源だと思います。活動局面もより、経営戦略策定(経営目標/ビジョン策定、ビジネス戦略策定)に重点を置くようです。戦略的情報化企画(課題整理/分析(ビジネスとIT))は減らす方向のようです。

 

1.パッケージコンサルのAPSへの移管

専門分野の再定義として、V2にあったコンサルタント(パッケージ適用)がアプリケーションスペシャリストに移りました。

コンサルタントの役割を上記のように、「IT投資の経営判断を支援する」と定義すると、「パッケージ適用」がコンサルタントの定義から外れてくるのです。

 

パッケージ導入プロジェクトのの計画フェーズ(下の図)において、コンサルタントは「経営戦略策定」フェーズを主に行っています。




 

そして、SAPなどのパッケージ製品提供企業において、顧客の業務要件に合わせて、自社製品のパラメータ設定やカスタマイズの作業を行うコンサルタントは、「戦略的情報化企画」以降のため、APS(パッケージ)に役割を移管することになったのです。

 

1.専門分野の再定義

V2では「BT」、「IT」、「パッケージ適用」の3種類の専門分野がありましたが、「パッケージ適用」はAPSへ移管しました。「BT」と「IT」の実際の活動を「産業(インダストリ)」と「業務(ビジネスファンクション)」に分けたほうが現実的だというプロフェッショナルコミュニティの提言です。

 



        2006年プロフェッショナルコミュニティ発表資料より

 

これは、コンサルタントを「BT」、「IT」でわけるより、現実の仕事として「インダストリ」、「ビジネスファンクション」の方がよりピンとくる、ということです。

 

インダストリ:産業(製造、流通、ハイテク 等)、金融(銀行、証券、保険 等)、公共

ビジネスファンクション: 会計、人事、設備管理、ITガバナンス 等

 



 

BITスペシャリスト職種に関する改訂です。

 

「分散コンピューティング」の廃止:

Webシステムがポピュラーになり、他の業務でも重複してきましたので、専門分野を廃止することになりました。

 

新専門分野の定義:



        ITスペシャリスト プロフェッショナルコミュニティの提言より

 

分散コンピューティングを廃止しましたので、従来の専門分野も見直し、新たに「アプリケーション共通基盤」を創設し次のようになりました。

 −プラットフォーム:

  ソリューションの基盤となるシステムプラットフォームの設計、構築及び導入を行う。

 

 −ネットワーク:

  ネットワークの構成要素、ネットワーク網、キャパシティ、障害回避手段などの設計、構築及び導入を行う。

 

 −データベース:

  データベースの論理設計、物理設計、回復管理などの設計、構築及び導入を行う。

 

 −アプリケーション共通基盤:

  システムにあったソフトウェアアーキテクチャの設計やフレームワーク、

共通ライブラリの選定/開発、導入を行う。また開発環境の構築、開発ツールの選定

/開発、導入を行う。

 

 −システム管理:

  ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションを含めたシステム運用、管理の設計、構築及び導入を行う。

 −セキュリティ:

  セキュリティ機能、セキュリティのためのコンポネントなどの設計、構築及び導入を行う。

 

この改訂により、よりITアーキテクトとの役割の関係が明確になりました。



     IPCF2007 ITスペシャリスト委員会 成果発表 より

 

ITアーキテクトの専門分野との関係

 

 ITアーキテクトの専門分野    対応するITスペシャリストの専門分野

インフラストラクチャー  →  ネットワーク、プラットフォーム、データベース、

                  セキュリティ、システム管理

 

インテグレーション    →  アプリケーション共通基盤

 

アプリケーション     →  アプリケーションスペシャリスト

 

 

 

C)アプリケーションスペシャリスト職種に関する改訂

コンサルの専門分野「パッケージ適用」が廃止され、その業務がアプリケーションスペシャリストに移行されたため、アプリケーションスペシャリストの「業務パッケージ」の内容が見直されました。より充実した専門分野となっています。

 

 

パッケージに焦点を当てたIT投資の局面です。

    IPCF2007 アプリケーションスペシャリスト委員会 活動報告 より

 

●業務パッケージ

適用業務パッケージの機能とそのポータビリティーを十分に理解した上で、業務に関するユーザの要望を把握し、パッケージのカスタマイズ、機能追加、導入及び保守を行う。

 

IT投資局面における活動領域では、当該業務パッケージに関する以下の作業を実施する

−開発

・詳細フィット&ギャップ分析設計

・要求仕様に合わせたカスタマイズ設計(追加機能設計を含む)

・追加機能開発(カスタマイズで実現出来ない部分の追加開発)

・パッケージコンポネントの実装、テスト

−運用、保守

・パッケージコンポネントの運用

・パッケージコンポネントの保守

 

「詳細フィット&ギャップ分析設計」など、いかにもERPでの作業内容が明確に記述されるようになりました。