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「IT人材市場動向調査」 レポート 【その3】
                                                2009年4月27日

 

前回までは、【IT企業向け】IT人材動向調査と、【ユーザー企業向け】IT人材動向調査でした。

これから【教育機関向け】情報系学生・教員動向調査と【情報系学科卒業生向け】情報専門学科カリキュラム評価を紹介します。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

3章 教育機関向け「情報系学生・教育動向調査」

 

まず、情報系学科の卒業者の動向です。

 


IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

約半数がIT職種として産業界に就職しています。意外と多くないと感じますが、進学の数字(全体で22.4%)を加えると、4分の3になります。気になるのは非IT系職種として就職している数字です。全体では15%います。微妙な数字です。

 

就職後の実務に関する意識調査です。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

トップ校の意識の差が目立ちます。



先生の企業経験の関する調査です。企業のニーズを反映するのには極めて有効です。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

残念ながら、企業経験のある先生は思ったより(思ったとおり)少ないものでした。これでは、企業ニーズを大学教育に反映することは難しいと思います。その具体的データです。

企業の大学教育への期待と、大学が重視している教育とのGAPをご覧ください。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

このデータは昨年の予備調査の結果です。今年の調査データは公表されていませんが、変わらないと思います。特に大学のカリキュラムが1年で変わるわけありませんから。昨年このGAPを見た時に大きな失望感を覚えたことを思い出しました。いかに大学とは唯我独尊であるかがよくわかります。

 

「現在、重視している教育分野」と「今後、重視したい教育分野」です。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

「チームワーク」「リーダーシップ」「プロジェクトマネジメント」で、改善の意向があるようです。そうは言っても各々41%34%31%程度とあまり高くありません。「通信ネットワーク(65%)」「プログラミング言語(61%)」「システム・ソフトウェア設計(59%)」などとは比較にならないほどまだ認識が低いようです。それに、教える能力がどれだけあるのかも疑問です。企業経験のある先生がほとんどいない大学(特にトップ校)では実現性も課題です。

「文章力(43%)」は残念ながら改善の意向すらありません。大変残念に思います。昨年の予備調査では企業側の期待第2位、大学側の重視第10位と最も大きなギャップがあった教育分野です。


それでは、次のテーマに移ります。

4章 情報系学科卒業生向け「情報専門学科のカリキュラム評価」 

情報系学科の卒業生の、大学(院)での学習内容に対する評価です。

「大学(院)で強化するべき科目」と「もう一度学習したい科目」です。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

IPAのコメントでは「プレゼンテーション」や「プロジェクトマネジメント」、「プログラミング言語」が紹介されていますが、その直後に「経営・組織マネジメント」「マーケティング」があります。大変健全な意識を感じます。やはり実務を経験すると企業経営やマーケティングにも興味を持つもののようです。

 

他の代表的な科目のデータです。



IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

共通して目立つのは「組込みシステム設計開発」の評価が高い点です。日本が世界に誇る製造業ですから、このこと自体は大変好ましいことだと思います。

この調査の中で初めて(昨年の予備調査を含めて)「組込みシステム」というキーワードが出てきたことは大変良かったと思います。逆になぜ今まで「組込みシステム」が注目されなかったのでしょうか。ITSSUISSに関するIT人材動向だけでは不十分なことが露呈されたようです。ぜひ、来年以降はETSS(組込みスキル標準)に関する人材動向も調査に加えることを要望したいと思います。

 

 

最後のスライドは、卒業生の考える「重要だと思う教育内容」と「不足している教育内容」です。


IPAIT人材市場動向調査」20092月より

 

今後の大学側の改善を期待しましょう。





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