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【ビジネスルールとビジネスプロセス】(その4)

2013年4月30



【ビジネスルールとビジネスプロセス】(その4


3.4 BRMS導入の課題

BRMS(とBPM)を導入しさえすれば、超高速開発が実現できるのでしょうか。実はそう単純なものではありません。少なくとも2つの課題があります。

一つは、導入するためにはビジネスルールそのものが整理、整備されている必要があります。どんなに優れたBRMSでも、入力するべきビジネスルールがしっかり整備されていなければシステムから得られる結果が正しい(効果的な)ものとは程遠いものになってしまいます。ルールのヌケ、重複、矛盾などはBRMS導入する前に整備、整理しておくべきものです。これを何もしないまま、ただBRMSを導入しても効果が期待できないことは言うまでもありません。ツール(BRMS)のなかには重複や矛盾を指摘してくれるものもあり、チェックに使える便利なものです。しかし、便利だからといって、ツールをうのみにするわけにはいきません。特にルールのヌケを指摘してくれるわけではありませんし、またルールの粒度もそろえておく必要もあります。ですからしっかりしたビジネスルールを体系化する必要があります。

もう一つは、ビジネス戦略との関係です。ルールにヌケ、重複、矛盾が(形式的に)なかったとしてもビジネス戦略を反映していないルール体系では、効果的なビジネス運営とは程遠いものになってしまいます。また、ビジネス戦略を変更した場合、ビジネスルールもそれに応じたものに変更する必要があります。その際どのルールを変更し、どのルールは変更しないと判断するのでしょうか。ビジネスアナリシスのグローバルスタンダードのBABOKではステークホルダー要求やソリューション要求は、ビジネス要求にトレースする必要ことになっています。ビジネスルールの世界でも同様のことが言えます。ビジネスルールもビジネス戦略につながった体系にしておく必要があります。それは、BRMS導入以前(もしくは導入と同時)の問題としてしっかりビジネスルールを、基となるビジネス戦略が反映したものにしておく必要があります。それができて初めて、ビジネス戦略と同期したビジネスソリューションが構築できるのです。






 上記2つの課題を解決するために、最近、良書が発売されています。それが、掲題の「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」(日経BP社)です。

「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」