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BABOK®(ビジネスアナリシス知識体系) 解説(その1)

2009216

 

KBマネジメントはBABOK®の認定教育ベンダ(EEP™)になりました。そこで、まずBABOK®とはなにか、EEP™(認定教育プロバイダ)とはなにか、弊社がなぜEEP™に認定されたのか、そしてBABOK®の社会的意義などについて解説したいと思います。最後にこのメルマガのタイトルにも関連しますが、スキル標準との関係についても考えてみます。

 

BABOK®(ビジネスアナリシス知識体系)】の解説です。

以下のような目次で解説いたします。

  1. BABOK®とは(全体像)

  1.1 背景

  1.2 ビジネスアナリシスとは

  1.3 同じ分野の資格・制度との違い

  2. BA資格

  2.1 CBAP®試験

  2.2 EEP

  3.BABOK®の内容(概要)

3.1 6つの知識エリア

3.2 基礎スキル(Underlying Competencies

  4. BABOK®の社会的意義

  5. スキル標準との関係

  6. その他

 

1. BABOK®とは(全体像)

これからBABOK®(ビジネスアナリシス知識体系)の全体像について解説します。

 

1.1 背景

一部、以前メルマガに書いたことと重複しますがお付き合いください。

 

1.1.1 ユーザー側の状況

  【第2回 要求シンポジウム(後編)】

 URL: http://www.kbmanagement.biz/sub331.html

 

20082月に開催された「第2回要求シンポジウム」の講演内容から、超上流工程の課題を振り返ります。
下は菊島靖弘氏(IPAソフトウェアエンジニアリングセンター)の講演内容です。

 

IT開発力が企業競争力を決める】

  金融機関は今どのような状況でしょう

  ・システムがなければ商品はマーケットに出せない

  ・システムの生産性が企業競争力を左右する

  ・保険会社などでは保険を売るだけではなく、

   保険口座といったシステムが実現する仕組みを売っている

  ・IT開発は本業となった

  ・....

 

いかがでしょうか。ITなくして金融・保険はビジネスが成り立ちません。

保険商品とはソフトウェアそのもの(少し大げさ)になっているようです。
言いかえると、IT(ソフトウェア)が金融商品を構築することになっています。

東証の次世代システムもそうです。金融・証券に限りません。製造業でもSCMなど製造・流通プロセスはITに大きく依存しています。製薬ではITのサポートなしでは、新薬開発ができません。すなわち、現在の企業活動そのものがIT抜きには語ることができないほど、その重要性は増してきています。それだけ、ITがユーザ企業のビジネスの成功のカギを握っていると言っても過言ではないと思います。
言いかえると、システム開発の超上流工程はユーザ企業のビジネスニーズ(もしくは事業計画)に他ならないということです。


【超上流工程の問題】
それだけ重要なビジネス要求を発注側(ユーザー企業)はITベンダーにどれだけ正確に伝えているでしょうか。)



 

 【ユーザーのIT開発力は落ちている】

 RFPによる役割分担(JUAS IT動向調査2004

  ・RFPはユーザ企業が作成                  16%

  ・ベースはユーザ企業が作成し、細部の作成はベンダに委託   33%

  ・ラフなRFPはユーザ企業が作成、あとはベンダに委託     41%

  ・すべてベンダが担当                    9%

 

現実はこのようなありさまです。

 

ここまで来てしまったのか、という驚きが強いです。もはやユーザ企業はRFPを自分では作れなくなっています。約半分が、ラフな要求仕様だけまたはすべて丸投げ、という状況です。

さらに、次のスライドをご覧ください。




驚きの数字ですが、2004年の調査での事実です。

1位と2位の数字を合計しサンプル数(n=621)で割ると、a52%b39%となります。

すなわち、システム仕様の定義が不十分のまま発注したのが52%RFPを提示しなかったのが39%あったということです。これはユーザのIT開発力は落ちていることの証拠です。これではシステムの不具合が増えるのも当然と言えます。また、ITベンダーにとってはむしろチャンスと見ることも可能です。顧客の情報システム部門の能力が下がっている時こそ、ITベンダーの腕の見せ所かもしれません。

 

上記は1年前にメルマガに記載したものですが、現在でも事情は変わっていないと思います。

その後、JUASからは2008414日付で「企業IT動向調査」が発表され、さらに具体的な内容の調査結果が発表されています。

 

 プレス発表(概要)

  http://www.juas.or.jp/project/survey/it08/press-zu2008.pdf

  詳細

  http://www.juas.or.jp/project/survey/it08/sumary2008_v12-7.pdf

 

ITそのものが企業の「商品・サービス」になりつつあり、それを企業経営層から期待されているのに、どれだけIT部門はその期待に応えられているのでしょうか。

 



JUAS「企業IT動向調査」

 

IT部門がその期待に応えられている企業は2割程度です。

現状の数字はこの程度のありさまです。ただし、業種によりばらつきも大きいようです。金融は最も高くて、「一部応えられている」が44%あります。また、おなじように、「顧客の確保・拡大」はどうでしょうか。



JUAS「企業IT動向調査」

 

こちらも、殆ど変わらない2割程度の企業のIT部門しか期待に応えられていません。

やはり業種によりばらつきも大きく、金融は「一部応えられている」が46%あります。

 

 

ビジネスイノベーションとしては次の6項目あります。

① ビジネス自体の変革

 ②商品・サービスの創造

 ③顧客の確保・拡大

 ④業務プロセスの革新

 ⑤現場改善

 ⑥組織の改革・支える基盤の確立

 

企業の経営企画部門の評価です。



JUAS「企業IT動向調査」

 

このように、「進んでいる」はほんの1割程度しかありません。

業務部門からの依頼をこなすという、受け身の仕事が多いようです。その結果、コスト削減のことばかり考えさせられる組織になり下がってしまうのではないでしょうか。

その原因はなんでしょうか。この調査で明らかなのは、人材(スキルのある)の不足です。



JUAS「企業IT動向調査」

 

スキルのある人材が圧倒的に不足しているのがわかります。

 

この人材こそ、今話題のビジネスアナリストであり、そのスキル体系をまとめたものが、BABOK®(ビジネスアナリシス知識体系)と言うことになります。

 

では、各企業はどのようにして、人材を確保しようとしているのでしょうか。



JUAS「企業IT動向調査」

 

   -外部コンサル・アウトソースの活用

-中途採用」

-既存要員の育成

の3つの方法です。

社内の人材だけで賄うことはできないと考えていて、外部コンサルやITベンダーに期待することが多いようです。

 


つづきは、ITベンダー側の状況です。